2011年12月3日土曜日

自転車の運転マナーも悪い

特に指定がない場合や、子供、高齢者等の特別な場合を除いては、自転車は車道を走行することになっている。それでも幅2メートル以上の歩道では自転車の通行を認めていたが、先日、それも3メートル以上の歩道へと変更された。
また、悪質な自転車運転手にはイエローカードや、場合によっては交通切符を発行する等、取り締まりを強化しつつある。

自動車やバイクを運転する立場としては、自転車については、マナーだけでなく、実際に危険を感じることも少なくない。
交通量の多い道路に面した駐車場から出る場合に、右から来る車列の切れ目を待っているときなど、隙間ができたと思って発進すると、左から右側通行の自転車が来ているようなことがある。交通ルールのつじつまが合わなくなることによる危険性であり、そのような場合でも自転車はまさに危険が差し迫るまで回避しようとしない(回避しようとしない→減速しない→その理由は後述)。
歩道のある道路では、歩道上に障害物があったり、歩行者がいると、歩道を走行していた自転車が車道に飛び出してくることがある。その際、一切の後方確認をしないことも珍しくない。自転車にはミラーがないのはもちろんだが、どのみち目視のために振り返らなければならない。この振り返るという動作は、体を捻る動作であり、体力を使う。こうした運動となる動作は意識的に行おうとしなければできない。免許証が不要な自転車の場合、そのための訓練を受けていない。

体を捻ることができないということも関係しているが、自転車は極めて省力的な動きをする。
加速するのに体力を使うので、減速したがらない。一度止まってしまうと、再発進に大きな体力を使うことになる一時停止は絶望的にできない。ブレーキをかければ停止するが、再発進の労力を考えて心理的に停止しようとしない。つまり実質的にできないことと同意だ。
見通しの悪い小さな路地の交差点でも、まったく止まることなく飛び出してくるのが標準である。

ピスト自転車と呼ばれるブレーキのついていない自転車が最近流行っていた。外観を重視するファッションとしてブレーキをつけなかったり、外したりした自転車だ。そのような自転車では、格段に減速が難しい。減速が難しいというのはブレーキがないからというのは当然であるが、減速するのに体力を使うことが大きな元凶となる。減速するには、ペダルを逆方向に抑えつける力を加えることが必要になる。通常のブレーキならば手の握力とテコの原理もあって楽に止められるものが、回転しようとする車輪を妨害するような、言ってみれば人力エンジンブレーキみたいなことをしなければならない。減速するのに余計に体力を使うとなれば、減速することが潜在的に億劫になり、なるべく減速をやり過ごそうという心理が働くことは想像がつく。その結果、自らの走行の継続性を優先し、安全に対する配慮や、譲るという姿勢が消極的になる。

人は放っておくと楽をする生き物。必要に迫られるまではやろうとしない。それをどうにかするには調教するしかない。免許証を持つ自動車の運転者なんかの場合、例えば、バックするときに運転席窓を開けて後ろを見たり、助手席のシートに手をかけて後ろを振り返る動作をする。左折するときの巻き込みを防止のため左後方を目視する動作や、見通しの悪い交差点ではハンドルより前に顔を突き出して交差点の向こうをのぞこうとする動作をする。こうしたことは教習所で調教を受けているからできることだ。検定で確認をしなかったら、免許は取得できない。
そこで、自転車も免許制にしてはどうかという意見もありそうだが、猛反対がでるのは目に見えている。現実的とはいえない。

幅3メートル以上の歩道の走行を認めないことについて、街中で自転車の運転手にインタビューしているテレビのニュースを見た。言っていることがトンチンカンなことが多い。
「いきなり言われても困る」とか「歩道と白線の間の幅が狭い」とか。
もともと自転車は車道を走行するもの。それを今まで2メートル以上なら目をつむっていただけのことである。それに自転車が歩道を走行するときに、幅が2メートルか3メートルかなんて意識していないのが現実だ。もともと意識していないものを困りようがない。それから自転車は無理に路側帯を走行する必要はない。なんか自転車に対して偏見か先入観のようなものを持っている人がいるのではないだろうか。自転車を含む軽車両や二輪車、それから3輪や4輪以上の車両はすべて車両であり、車道を走行すればよい。
もし、自転車の立場に立って、何か因縁をつけるコメントを考えてみるなら
「今まで通りではあるが、自転車の走行できる範囲が少し狭くなるようで、不便になることも出てきそうだ」とかだろうか。
この2メートルから3メートル以上へ変更になることについては、基本的に自転車にとって不利な方向性であるから、ありがたいなんていう回答があるはずがなく、自転車を乗る人としては当然に文句を言うわけだが、それにしたって論理に筋が通っておらず、物事を理解しているとは思えない。
街中でのインタビューだったりしたので、よく考えた返答ではないだろうから、そこに突っ込みすぎるのはフェアではない。しかし、こうした自転車を特別視したような勘違いは多いように思う。

そして、このような勘違いが自動車側にもある。自動車の運転手が自転車を車両の仲間とみなさないことだ。確かに自転車はほとんどの状況で自動車より低速で、免許証の取得を必要としない。交通ルールも守られていないことが当たり前のようになっている。しかし、それらを理由として自転車を車道の邪魔者のようにとらえ、邪険にするのは相応とはいえない。
自転車のマナー、特に危険性の高いことについては、行政等から十分に指導してもらえることを望むし、自転車の運転手にも理解されることを願う。その一方で、自動車側も、自転車の立場を理解していかなければならない。