2010年6月18日金曜日

枯葉マークを嫌がる高齢者

免許取得後1年を経過しない初心運転者は、車に初心運転者標識(初心者マーク・若葉マーク)を付けることが道路交通法により定められている。また70歳以上の運転者は高齢運転者標識(もみじマーク・シルバーマーク・枯葉マーク)を付ける。

もみじマークには何かと難癖がつけられている。特に枯葉マークとも言われ、人生の終焉を連想してしまうのか、評判が良くない。
そこで最近、警察庁が別のデザインのマークを4つ提案し、インターネット上でアンケートを実施している。今の枯葉マークのイメージが良くないので新しいデザインに変えようということだ。

ちょっと横道に逸れるが、国の社会保険制度に後期高齢者医療制度というのもあって、名前に後期とつくから、寿命が残り少ない死にかけのように聞こえて、それが気に入らないというのに近い話だ。こちらも長寿医療制度に名前を変えようとしている。こちらは純粋に名前の話かもしれないが、枯葉マークについて高齢者が本当に言いたいことは「そこまでもうろくしておらん」ではないだろうか。こうしたマークの存在自体が、高齢者を見下げたり、なめられたように感じるのであって、デザインや名前の問題ではないのではないか。

私はまだ死を目前とする状況ではないので、高齢者の気持ちを理解することはできないが、死が迫ってくる現実を直視できないということがあるのではないかと思ったりする。高齢者もなかなか頑固というか、いつまで経っても若いという気持ちなのだろう。
また、自動車による交通社会には独特の世界がある。それはこのサイトで取り上げている内容にも関連することだが、現実世界ならヒンシュクものであろうマナーの悪さが横行し、ちょっとでも人より先に出ようと、ドライバー同士で不毛な牽制をし合う。そうした中で枯葉マークを付けることは「私はヘタクソです」と看板を掲げて運転するようで、見くびられることになるのではと考えるかもしれない。場合によっては、自らが乱暴な運転をする際に、相手に何かを見透かされる気がするのかもしれない。
高齢者の気持ちとしては、運転も人生もベテランだ。保護される立場ではない。差別的取り扱いを受ける理由はない。衰えなどない。カッコ悪い・・・等々、他にも色々あるかもしれない。

一般的には高齢になるとともに肉体は衰退していく。それを自覚できれば良いのであるが、そうでないことも事故につながる原因となる。認知症による高速道路の逆走もそうだろう。認知症には自覚がないことが多いが、それだけにたちが悪い。高齢者といっても99%は元気であろうし、運転も上手だが、自覚がないことがあるからこそ、こうしたマークに効果があると判断されたのだと思う。

名称や格好なんて、どうでもいいことのように思えるが、人生何十年も生きてきた先輩でさえ、感情に支配されるのである。はからずもそのことで精神的には若いことを証明し、肉体とのギャップを見て取れる。

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